Project — 2026

絵画を聴く

形態 Sound Installation / Research / Workshop
活動期間 2026.4 – 体制 ASIBA Creative League 4期 / 100BANCH GARAGE Program
絵画を聴くListening to PaintingsSound Art × Research × PracticeASIBA Creative League 4th 絵画を聴くListening to PaintingsSound Art × Research × PracticeASIBA Creative League 4th
絵画を聴く インスタレーション
01

プロジェクトについて

Overview

絵画に、その中に鳴っていたかもしれない音の風景を重ね、視覚や言葉によらず誰もが共に鑑賞できる、 新たな体験をつくる。

「絵画を聴く」は、絵画から音をつくる仕組みを、作品・研究・プロダクトを横断して実践するプロジェクトである。 研究での検証を重ねながら、非言語型音声ガイドとしての社会実装を目指している。

絵画を聴く 絵画から音を
つくる仕組み

作品

インスタレーション/ワークショップ

研究

学会発表/VR・HCI

プロダクト

新しい美術館の音声ガイド

02

きっかけ

Motivation

とびらプロジェクトで出会った全盲の友人と、共に作品を鑑賞した経験にある。

言葉による説明だけでは伝えきれない感覚があることに気づいた。既存の音声ガイドの多くは、日本語が使え、 目が見えることを前提に設計されている。晴眼者であっても、作品そのものよりキャプションを見ている時間の 方が長いというデータがあり(Smith et al., 2017の鑑賞時間調査)、既存の鑑賞体験は視覚・言語に偏りすぎている。

大学で学ぶフランス近現代の美術史と、課外で重ねてきたサウンドアートの実践。この2つの領域を結びつければ、 音で絵画を拡張した鑑賞をつくれるのではないかと考えた。最初に目指した3つの問いは、「絵画を聴く インスタレーション」のページで詳しく紹介している。

03

体験のデザイン

Experience

木枠に振動スピーカーと距離センサーを組み込んだインスタレーションとして、5月のASIBA DEMO DAYで発表した。

01

音を流す

絵が描かれた当時の環境をリサーチし、Unity上でつくった音を作曲・加工して流す。

02

構図で変わる

距離センサーが手の位置を検知し、絵の構図に応じて聞こえる音を変化させる。

03

触覚で感じる

振動スピーカーが音を振動に変換し、視覚に頼らず体で感じられるようにする。

距離センサーを組み込んだ木枠のインスタレーション全景
振動スピーカーのディテール

左:木枠に組み込んだ距離センサーが手の位置を検知し、絵の構図に応じて音を変化させる。右:振動スピーカーが、その音を目に頼らず手で感じられるようにする。

04

作曲法

Composition

絵画から音を抽出し、AIとUnityで構図に合わせて配置し、質感に合わせて仕上げる。

01

音響要素の抽出

モネ《睡蓮》の文献調査から、水音・植物音・生物音・鳥の声など33の音を洗い出す。

02

AIで効果音生成

ElevenLabsの音声生成技術で、それぞれの音響要素を個別のデジタル音源にする。

03

Unityで音を配置

絵の構図に合わせ3D空間上に配置。発生確率を連動させ「鳴り続ける環境」にする。

04

質感に合わせ作曲

筆致や色の重なりに音を合わせ込み、インスタレーションの音響基盤に仕上げる。

Unity上における音源の3D配置
Max/MSPを用いた制作風景

左:Unity上での音源配置と制御。右:質感に合わせた加工と作曲の作業風景。

コンセプト

連動 関係し合う — 具体音同士が共鳴し合うことで、単独では存在し得ない動的な関係性を構築する。
環境 鳴り続ける — 「曲」ではなく終わりなき環境として、鑑賞者はその音響空間に自由に出入りできる。
偶然 変化していく — 現実の偶然性やプログラムによる揺らぎによって、二度と同じ響きは生まれない。
05

活動タイムライン

Timeline
2026.4 ASIBA Creative League 4期 採択
2026.5 ASIBA DEMO DAYでインスタレーション「絵画を聴く」を発表
2026.6 100BANCH GARAGE Program 採択
2026.6 美学校ワークショップ「聴く絵画をつくる」開催(7名参加)
2026.7 100BANCHにて「気配に触れる」「ミキキの交差点」開催
2026.7 東京都盲人福祉協会(八王子)で鑑賞会実施(8名参加)
2026.7 o-i studioにて「線を聴く」開催
2026.9 第31回日本バーチャルリアリティ学会大会で論文発表
2026.9 初個展「OTOATO」開催(GALLERY工+WITH)
06

実践・アウトプット

Practice

インスタレーション、ワークショップ、鑑賞会、学会論文として、それぞれの場に合わせて展開してきた。

ミキキの交差点 地衣類(共生体)をテーマにした展示風景

地衣類(共生体)の「気配」をテーマにした展示風景(ミキキの交差点)。

07

体験者の声

Voices
全盲 「空間性を感じられる」「絵の要素を音で感じられる」
晴眼 「絵画世界によりリアリティを感じる」

視覚の有無に関わらず、同じ空間性・実在感を共有できる可能性が示唆された。

08

独自性・実現したい未来

Vision

データ変換でも言語でもなく、聴き手それぞれの解釈の余白を残したまま、直感的に絵画空間を体感できる 新しい鑑賞のかたちをつくること。

絵画は、見る人によって感じ方が変わる主観的なメディアである。絵画を音に「正確に」変換するという発想 自体を手放し、絵の中にあったかもしれない音を想像して作曲するという、正解のない作り方に軸足を置いている。

視覚の程度や言語・文化的背景に関わらず、多様な人々が同じ場で体験を交換し合える環境をつくりたい。 鑑賞体験を共有する過程そのものが対話となり、背景の違いを超えたコミュニケーションが生まれる状態を 目指している。

協力

NTTソノリティ(イヤホン機材提供)、美学校(ワークショップ会場提供)、三菱鉛筆(画材・会場提供)、 100BANCH GARAGE Program(展示会場提供・プログラム採択)、ASIBA Creative League(メンタリング・ プログラム採択)、東京都盲人福祉協会(鑑賞会実施への協力)。

Pickup 金子淳平 初個展「OTOATO」 特設ページを見る →

2026.9.19 SAT – 9.23 WED GALLERY工+WITH(新高円寺駅徒歩3分)。「絵画を聴く」の展示に加え、新作も発表する。

← Back to Work